桜の季節も終わり、一斉に薄緑色の葉が出始め、寒くもなく暑くもないこの季節が
私は一番好きである。
長年、常磐線の早い時間の電車で通勤しているが、この時間帯の乗客は7~8割が
同じ顔で、ホームに並ぶ位置、座席迄もがほぼ指定席である。
車窓から毎日見える同じ光景の中で、気になる木々、草花を見つけることがある。
松戸駅近くから見えるお寺の『ピサの斜塔』を想像させるポプラの大木。
日暮里駅と鶯谷駅間の線路の砂利の上に数十メートルに亘って咲くスイートピーの
ような白い花。
日暮里駅と鶯谷駅間の高台から見下ろす威風堂々とした樫の木。・・・等々
日の出が早くなり、車窓からの景色がハッキリ見えるようになると、今年もあの白い
花が咲くだろうかと、一瞬にして通り過ぎる線路の中を探し、砂利の中に緑の芽を
見つけた時は今年も咲いてくれるとホッとする。
樫の木の樹齢は分からないが、堂々とした姿を見ると、日々のクヨクヨするような事を
吹き飛ばしてくれる。
毎日繰り返しの通勤電車で、いつも同じ光景を見ているようだが、そこには少しずつ
変化する季節があり、気がつかないほどゆっくりと成長する自然があり、普段は気づ
きようもないが、いつの間にか生きるパワーを貰っているように思う。
そうだ、今年は久しぶりに生まれ故郷青森の奥入瀬渓流の新緑を見に行こう。