歌舞伎や文楽など伝統芸能の拠点である国立劇場が、老朽化に伴う建て替えのため、10月末で一旦閉館します。
8月中旬にタクシーが国立劇場の出入り口にあるガラス扉に突っ込んだ事故がありましたが、その気配は見られませんでした。
昨年の9月から約1年に渡る「初代国立劇場さよなら特別公演」が行われています。
現在、日本に伝わる伝統音楽のうち最も古い音楽である【雅楽】を見に行ってきました。

千穐楽や楽屋、頭取、打ち合わせ、ぎっちょなど雅楽由来の言葉が数多くあります。
雅楽の演奏形態には、「管絃」、「舞楽」、「歌謡」の3つの種類があり、今回はそのうちの「舞楽」を宮内庁式部職楽部が演奏されました。

今回の舞楽では、諺の由来になったものと、約四半世紀ぶりのものが舞われました。
最初の演目は、【安摩(あんま)・二ノ舞】。こちらは常に対をなして舞われます。
まず、安摩では舞人2人が和紙に抽象的な人の顔を描いた雑面 (ぞうめん) をつけて、姿おかしくかつ優雅に舞います。
雑面は、千と千尋の神隠しに出てくる神さまにも少し出てくるお面です。
続いて二ノ舞で、年老いた男女2人が登場し、安摩の舞をまねながら舞うが、うまくまねられず滑稽なしぐさをするという「二の舞を踏む」の諺の語源となった舞楽です。

約四半世紀ぶりに再演されるのは【新鳥蘇 一具(しんとりそ いちぐ)】
四部構成で、高麗楽の大曲の一つに数えられ、昭和49年国立劇場第17回雅楽公演にて91年ぶりに一具を揃えてた復活上演を果たし、今回、約四半世紀ぶりの再演となりました。
こちらも面をつけた6人で舞い、その姿は優美ながら圧巻でした。
両演目ともYouTubeでも見ることが可能です。

初代国立劇場とはこれでお別れになり寂しいものがありますが、新しい国立劇場がどのような姿になるか楽しみにしたいと思います。